法人にしたら税金は安くなる?個人との違いと注意点

仙台で税理士をしています、伊藤です。
「法人にすると、税金が安くなるって本当ですか?」
独立を考えている方から、よくこんな質問をいただきます。

たしかに、法人と個人事業では税金の仕組みや経費の扱いが異なります。
でも、実際の手取りや負担感で考えると、「必ず安くなる」とは言い切れません。


経費の範囲は変わらない?

まず、よくある誤解のひとつが「法人ならなんでも経費にできる」というもの。
結論から言えば、経費の基本ルールは個人でも法人でも同じです。

事業に必要な支出であれば、どちらでも経費になりますし、
プライベートな支出は、法人でも当然NGです。

たとえば…

  • 家族旅行
  • 自宅の家具や生活用品
  • 趣味で買ったもの

こうした支出を無理に経費にしようとすると、
役員貸付金という扱いになったり、後々のトラブルにもつながるので注意が必要です。


実際の「手取り」は、思ったほど変わらないことも

「法人にしたほうが得だ」と思いがちですが、実際には
利益がしっかり出ていないと、手元に残る金額はそこまで大きく変わらないことも少なくありません。

だいたい、年間の利益が1,000万円を超えるくらいの規模になると、
法人化のメリットが見えてくることもありますが、
それくらいの水準でも「手間の割に変わらなかったな」という感想を持たれる方もいます。

※いくら以上で法人が得、かは断言しないようにしております。


法人化のいちばんのメリットは「信用」

では、法人化のメリットって何でしょうか?
いちばん大きいのは、やっぱり信用力です。

たとえば…

  • 法人じゃないと取引できない企業がある
  • 求人や外注募集で信頼感が出る
  • 融資やリースで有利になることがある

結果として、新しい仕事につながりやすくなるなど、
間接的に“集客力”を上げる効果があるのも、法人ならではの特徴です。


まとめ

「法人にすれば、税金が安くなる」
そんなイメージを持っている方も多いですが、実際には
税金や手取りは、思ったほど差が出ないことも少なくありません。

だからこそ、税金だけを理由に法人化を決めるのではなく、
信用や今後の展開も含めて、総合的に考えてみるのがおすすめです。