こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
先日読んだ、富永朋信さんの『人がモノを買うしくみを言語化する』。
マーケティングの考え方を整理するうえでとても良い本でした。
なかでも印象に残ったのが、「ブランディングとは“らしさ”の記憶である」という部分です。
今日はその考え方を、自分の仕事やホームページ運営と重ねて整理してみます。
ブランディングは「らしさ」を記憶してもらうこと
富永さんによると、
個人のブランドは「性格・価値観・好み」が言動を通じて他者に理解され、蓄積されるもの。
企業のブランドは「価値規定・約束・決めごと」が戦略やコミュニケーションを通じて記憶されるもの。
つまり、どちらも“らしさの記憶”で成り立っています。
「いいサービスをしているか」も大事ですが、
「どんな人(会社)として覚えられているか」。
ブランディングとは、他者の頭の中に“自分らしさ”を設計していく営みなんですね。
「好きだから買う」関係をつくる
人は必ずしも合理的にものを選ぶわけではありません。
多くの購買行動は、「好きだから」「なんかいい感じだから」という感情で動きます。
富永さんは、この「好きだから買う」を生み出すのがブランドだと言います。
そのためには、ブランドコンセプトを通じて「このブランドは自分にとって何か」を感じてもらう必要がある。
たとえば私の事務所で言えば、
「税務を代わりにやってくれる人」ではなく、
「安心して本業に集中できる環境を整えてくれる存在」。
税理士として“役に立つ”だけでなく、“意味がある”と感じてもらえる関係を目指しています。
世界観は“雰囲気”で伝わる
富永さんは、世界観をつくるには画像や動画の活用が有効だと書いています。
なぜなら、画像は現実の一場面として認識されるから。
そこにブランドのパーソナリティを感じさせる小道具や舞台をちりばめることで、世界観を強く伝えられる。
私自身、ホームページの随所に、趣味や好きなことをちりばめた写真を載せています。
見てくれる人が「この人、こういう雰囲気なんだ」と感じてくれる。
それが自然と、問い合わせや会話のきっかけにもなっています。
飾りではなく、世界観を伝える手段としての写真。
これもブランディングのひとつの形だと思います。
世界観を共有することがブランドになる
ブランディングとは、好きなものや価値観を通じて世界観を共有し、
その空気に共感してくれる人とつながる営みです。
無理に印象を作るのではなく、自分が大切にしている考え方や姿勢を
自然体で積み重ねていくこと。
サービスの内容よりも、やり取りの中で伝わる“雰囲気”のほうが
その人らしさとして記憶に残ることもあります。
結局のところ、ブランドとは「好きの共有装置」なんだと思います。
その人らしさがにじむ世界観が、相手の中に“好き”として記憶される。
それがブランディングのいちばんおもしろいところです。