こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
最近よく見かけるようになったのが「月額数千円」「完全非対面」「全国対応」といった税理士サービスです。
ほんの数年前までは、毎月の訪問やコンサル込みが当たり前だったのに、今は最低限だけでOKというスタイルが一気に広がってきました。
広がる「低価格・非対面」のトレンド
背景にはいろいろあります。
コロナ禍でリモートが一気に広まったこと。フリーランスや副業をする人が増えたこと。
そしてIKEAやチョコザップのように「必要最低限のサービスに慣れた消費者感覚」が浸透してきたこと。
「安くて便利なら十分じゃない?」という声が増えてきて、税理士業界もそれに応えるように非対面・低価格のサービスが増えています。
一見メリット、でも続けられるのか?
利用する側から見れば、安くて最低限の処理ができればありがたい話です。
でも、内側から見ると不安もあります。
税理士の仕事って、どうしても「人」が関わるんですよね。
書類の確認、相談対応、税務判断…これを全部自動化するのは無理があります。
だから低価格で数をこなすスタイルだと、結局はスタッフ頼み。
その結果、負担が増えて疲れて辞める → 残った人がさらに疲れる → もっと辞める。
いわゆる「疲弊スパイラル」に陥りやすい。
修行時代にこうした現場を見てきたので、「これ、どこかで破綻するのでは?」とつい考えてしまいます。
付加価値はいつか陳腐化する
もうひとつ気になるのは「付加価値の賞味期限」です。
サービスの価値って、
「便利 → 普及 → 当たり前 → 陳腐化 → 不要化」
こんな流れをたどることが多いと思います。
昔は「毎月訪問」が付加価値でした。今では非対面の方がむしろ好まれる場面すらあります。
同じように「低価格・非対面」もいずれは当たり前になり、場合によっては「そんなのはもう不要」と言われるかもしれません。
現状維持はリスク
いまは魅力的に見えるスタイルも、数年後には評価がガラッと変わっているかもしれません。
税理士業界も、自分自身も、「変わらなくてもいいや」と思った瞬間に取り残される。
現状維持こそが、一番のリスクだと感じています。