チヤホヤされ始めたら、一回冷静になったほうがいい件

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

最近読んだ漫画、「この度、弊社は無事に」がかなりリアルでした。

アンリミで読めるぞ!

売上は順調に伸びている。
周りからも評価されている。
それなのに、気づけば大赤字で倒産の危機。

この仕事をはじめて十数年、いろいろと見てきましたが
内容はほぼ“あるある”でした。

売上が伸びているときほど、周りが騒がしくなる

事業が軌道に乗ってくると、周りの反応が変わります。

・すごいですね!
・名刺交換しましょう!
・ぜひ一緒にやりましょう!
・もっと広げたほうがいいですよ!

いわゆる「さすがです!」ラッシュ。

これ、悪いことではないんですが、
このタイミングで来る話って、だいたい“拡大前提”なんですよね。

この漫画でも、事業が伸びてきたところで「さすがです!」と大手ECから声がかかります。

気分はいいです。正直。

でも、その先にあるのは「もっと売りましょう」という話です。

売上は伸びる。でも利益は残らない

漫画の会社も、まさにこれでした。

売上は右肩上がり。
外から見れば成功しているように見える。

でも中身は、プロモーション費が膨らみ続けて、利益がほとんど残らない構造。

いわゆる薄利多売です。

しかもこれ、怖いのは「自覚がないこと」。

売上が伸びていると、どうしても安心感が出ます。
むしろ、うまくいってると錯覚しやすい。

でも実際には、

・粗利はどうか
・広告費は回収できているか
・最終的にキャッシュが残っているか

ここを見ないと、普通に崩れます。

「さすがです!」と言う人は、誰のために言っているのか

ここは少しドライな話になります。

あなたに「拡大しましょう」と言ってくる人。
その人は、あなたが拡大したときに一番得をする立場にいることが多いです。

・広告を出せば出すほど売上になる人
・流通に乗せれば手数料が増える人
・案件を紹介すればマージンが入る人

売上が伸びれば、その人たちの売上も伸びます。

でも、あなたの利益が残るかどうかは関係ない。

この漫画でいうと、「さすがです!」と言い続けていた大手ECの担当者がそれです。

別に悪人ではないんですが、利害が一致していない。

ここを見誤ると、わりと簡単に持っていかれます。

スケールの大きい話ほど、いったん疑う

これは実務的な感覚ですが、

・もっと大きい仕事やりましょう
・他県に支店出しましょう
・いい人紹介しますよ

こういう話が急に出てきたときは、一歩引いて考えたほうがいいです。

話としては魅力的ですし、やってみたくもなる。

ただ、その拡大によって一番得をするのが誰なのかは、冷静に見たほうがいい。

場合によっては金融機関も同じです。
(関係ないけど、なんで銀行さんはアポなしで「挨拶にきました!」って来るんだ

もちろん全部が悪いわけではないですが、
「向こうの都合」もちゃんとある、という前提は持っておいたほうがいいです。

拡大は“正義”ではない

昔、コンサル会社にいたときに言われた言葉があります。

「売上を下げてでも、利益率を上げてキャッシュを残せ」

当時はブラックすぎてキツかったですが、この考え方はかなり本質的で今も大事にしてます。

事業って、最終的にはキャッシュが残るかどうかなので。

売上がいくらあっても、利益が出ていなければ続きません。

拡大すること自体は悪ではないですが、
「流れで拡大する」のはけっこう危ない。

現状維持は衰退、の本当の意味

よく「現状維持は衰退」と言われます。

これ、拡大しろって話だと思われがちですが、
個人的にはそうではないと思っています。

本質は、

「今のままでいいと思うなよ」

という意味であって、

「無理してでも規模を大きくしろ」ではありません。

商品やサービスを、時代に合わせてブラッシュアップする。
価値を落とさないように改善し続ける。

こっちの意味合いのほうがしっくりきます。

それでも拡大するなら

じゃあ拡大しないほうがいいのか、というとそうでもありません。

どうしても多くの人に届けたい。
この形じゃないと実現できない。

そういう強い意思があるなら、拡大は選択肢になります。

ただしそれは、

・リスクを取る前提
・うまくいかない可能性も受け入れる前提

いわば、ある種のギャンブルです。

だからこそ、「さすがです!」に乗せられてやるものではないです。

自分で選んでやるものだと思います。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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