成約率に振り回されない、商売の続け方

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

ビジネスのセミナーやコンサルで「成約率アップ!」という言葉をよく耳にします。たしかに数字を上げられたら気持ちはいいものです。けれど、超拡大を前提にしたビジネスでない限り、私は「成約率は下がるのが正常」と考えています。

成約率アップは万能ではない

よくあるセミナーでは「成約率○%から○%に大躍進!」といった話が出てきます。
でも、それは大量集客が前提になっているからこそ成り立つ発想です。

小規模な事業や専門職の場合、ぱっと見は「成約率が高い=優秀」と思われがちですが、実際はそうではありません。むしろ、最初は誰でも受け入れるので高く見えるだけ、ということも多いです。

成約率は下がっていくのが自然な流れ

開業初期は、問い合わせをいただければほぼ契約、という状態になりがちです。選り好みする余裕がないからですね。
ところが、事業が軌道に乗ってくると、無理に契約を勧めることをしなくなったり、より相性の良さそうな人を紹介したりするようになります。

そうすると、当然ながら成約率は下がります。けれど、それは「悪化」ではなく「正常化」です。

問い合わせが増えるほど、率は下がる

マーケティングが効いてくると、問い合わせや見込み客の数が増えていきます。
ただし、すべての方と契約するわけではありません。むしろ母数が増えるほど、成約率の数字は自然に下がるものです。

ここで大事なのは、率の低下を「失敗」と見ないことです。むしろ、マーケティングが機能している証拠だと受け止めたいところです。

成約率よりも大事なこと

成約率の高さを追い求めるより、相性の良い人とだけ契約できることの方がずっと価値があります。
誰とでも契約するのではなく、「この人となら長くやっていける」と思える方とつながること。それが事業を続けるうえで一番の安心につながります。

まとめ

成約率が下がってきたからといって焦る必要はありません。
それは「マーケティングが効いて問い合わせが増えている」「自分に合う人とだけ契約できている」という前向きなサインです。

私自身、20代の頃にある会計事務所の面接で「関与先はどんな業種が多いですか?」と質問したところ、番頭さんらしき人に「あなたは仕事を選ぶんですか?」と怒られたことがあります。
今思うと意味不明な返しだなとツッコミを入れたくなりますが、当時はとりあえず苦笑いするしかありませんでした。

ただ、今なら迷わずイエスと答えます。自分に合わない仕事を無理に引き受けることこそ、最も不誠実だと思うからです。

成約率にとらわれるよりも、合う相手と誠実に向き合うこと。そこにこそ、小さな商売を続ける本当の強さがあるのではないでしょうか。