『金持ち父さん』がちょっと苦手な件

こんにちは。仙台在住の税理士、伊藤です。
今回は、少し個人的な読書感想を。

ベストセラーとして有名なロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』。


お金の教養の入門書として、多くの人に読まれている一冊です。
ただ、正直に言うと、私はこの本がちょっと苦手です。


ラットレースから抜け出せ、という主張

この本のキーワードのひとつが「ラットレース」。

働いても働いても豊かにならず、ずっとお金のために働き続ける生き方を「ラットレース」と呼び、
そこから抜け出すには「資産を持つこと」「ビジネスオーナーになること」が大事だ、という主張です。

なるほど、それは理屈としては正しいのかもしれません。
「お金のために時間を売らない生き方」を目指すことには、大いに共感できます。


でも、経営者になれば「楽」なのか?

ただ、私が引っかかるのはその先の話です。

『金持ち父さん』では、経営者や投資家になることを「より自由な生き方」として描いていますが、
実際に経営者の方々と日々接している立場として、それが必ずしも「自由」だとは思いません。

人を雇えば、人の問題に悩むことになります。
お金の不安が減ったとしても、責任やストレスはむしろ増えるケースも多いです。
プレッシャー、トラブル対応、孤独感……サラリーマン時代にはなかった悩みを抱える人もたくさんいます。


自由のかたちは人それぞれ

だからこそ思うのは、「自由」のかたちは人それぞれ、ということ。

ひとりで働く自由もあれば、誰かに雇われて責任を限定する自由もある。
時間をお金に換える働き方だって、それを選ぶ理由があれば悪いことではない。
「ラットレース=悪」「経営者=正解」と単純に割り切れないのが、現実の難しさです。


苦手な理由をまとめると

『金持ち父さん』がちょっと苦手な理由をまとめると、こんな感じです。

  • ラットレースを抜けた先が、必ずしも楽園とは限らない
  • 経営者になることが、すべての人にとって最適とは思えない
  • 「自由」や「成功」の定義が、やや一面的に感じられる

決してこの本を否定したいわけではなく、「向いてる人にはすごく刺さる本」だとも思っています。
ただ、自分にはあまりフィットしなかった、というのが正直な感想です。


おわりに

お金や働き方について考えるきっかけをくれるという意味では、『金持ち父さん』は良書です。
ただ、「みんなが経営者を目指すべき」という空気に飲まれすぎると、しんどくなる人もいると思います。

私自身は、「拡大しない経営」を選んでいます。
ひとりで、無理せず、好きなことを続けられる範囲で働く。
それも、十分に“自由な働き方”のひとつだと思っています。

もし同じような価値観の方がいたら、安心していただけたら嬉しいです。