小規模事業者の資金繰り。会計ソフトよりExcelをおすすめする理由

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

開業したばかりの方から、

「資金繰りって、いつ頃から考えた方がいいですか?」

というご質問をいただくことがあります。

結論から言うと、できれば創業した時から意識した方が良いと思っています。

もちろん、大きな会社のように毎月何千万円もの人件費や仕入れを支払があり、売上の入金より先に多額の資金が出ていくようなケースとは少し事情が異なります。

それでも、創業期は売上や手元資金に余裕がないことが多く、少し予定がずれただけでもヒヤッとする場面があります。

今回は、小規模事業者の資金繰りについてお話しします。

資金繰りは「今」ではなく「未来」を見るもの

例えば、会計ソフトを導入すると、売上や利益はきれいに見えるようになります(正しく入力されていれば)。

ただ、資金繰りという観点では少し役割が違います。

会計ソフトで見える数字は、基本的には過去の数字です。

「先月いくら売ったか」

「今期どれくらい利益が出ているか」

は分かります。

一方で、本当に知りたいのは未来です。

来月の家賃を払う日に、お金は足りるのか。

クレジットカードの引落日に残高は足りるのか。

税金を納める頃には、どれくらい預金が残っているのか。

資金繰りで知りたいのは、過去にいくら儲かったかではなく、支払日にお金があるかどうかです。

利益と、お金は別です

利益が出ているのに、お金がない。

これは珍しい話ではありません。

例えば、

・売上は計上したけれど(請求書は出したけど)、まだ入金されていない

・車や設備を購入して現金が減った

・借入金を返済した(元金部分は経費になりません)

こういったことがあると、利益が出ていても預金残高は減ります。

逆に、借入をした月は預金は増えますが、それは儲かったわけではありません。

だからこそ、利益だけを見ていると、実際のお金の動きとズレることがあります。

小規模事業者なら、Excelで十分です

会計ソフトには、資金繰表を作成できる機能が用意されていることもあります。

ただ、その機能を活用するには、日々の会計入力がきちんとできていることが前提です。

さらに、将来の売上入金や支払予定などを反映するための設定も必要になります。

この設定、けっこう癖があり、思ったように使えなかったり、必要以上に細かい情報が表示されて、かえって見づらくなってしまうこともあります。

機能が多いことと、使いやすいことは別です。

小規模事業者であれば、私はExcelで十分だと思っています。

毎月、

  • 月初の預金残高
  • 売上の入金予定
  • 家賃や外注費などの支払予定
  • クレジットカードの引落し
  • 借入金の返済
  • 税金などの支払い

を並べて、

「月末にはいくら残るのか」

を見るだけでも十分役に立ちます。

細かく作り込みすぎると、更新しなくなってしまいます。

続けられるくらいシンプルな方が、結果的に資金繰りにも役立つと思います。

売上目標も見えてきます

資金繰り表を作ると、

「あといくら売れば大丈夫なのか」

も見えてきます。

毎月必要なお金が分かれば、

「今の売上なら、あと何か月資金がもつのか」(これ大事)

「毎月どれくらい売上があれば、お金を減らさずに済むのか」

ということも考えやすくなります。

なんとなく売上目標を決めるよりも、自分のお金の流れから逆算した方が、現実的な目標になります。

事業とプライベート、合わせて見てみる

個人事業主や小規模法人では、事業と生活が完全に切り離せないことも少なくありません。

会計上は事業とプライベートをきちんと分ける必要があります。

ただ、資金繰りを考えるときは、両方を合わせて見てみることをおすすめします。

事業とプライベートを合わせて、お金が増えているのか、それとも減っているのか。

この視点で見ると、実際の資金状況が分かりやすくなります。実はこれ、私も独立したばかりの頃やってました。

事業口座だけを見て安心したり、不安になったりするのではなく、自分全体のお金の流れを把握することも大切です。

資金繰りというと難しく聞こえますが、まずは「今いくらあるか」ではなく、「支払日にお金が足りるか」を確認することから始めてみてください。

それだけでも、お金に対する見え方は大きく変わると思います。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
[事務所ホームページへ]