ファッション!!のジャンほど極端じゃないけど、値引きは普通にHP削ってくる

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

漫画『ファッション!!』って読んだことありますか?

はるな檸檬先生は、東村アキコ先生の超超超名作「かくかくしかじか」にも出てくるぞ!
ファッション!! - はるな檸檬 / #01 | OUR FEEL(アワフィール)
【毎月第1,3木曜更新!最新4話無料!!】「あの子は ファッションの天才だった」――。新道 開、36歳、妻子あり。元ファッション業界の人間で、服オタクの開はある日、新人デザイナーで留学生のジャンに出会う。 ジャンの誠実さと才能に心を動かされ...

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ファッション業界の青春もの……かと思いきや、人間関係のゴタゴタや“お金のリアル”がかなり刺さる作品です。

中でもインパクト強めなのが「ジャン」。

こいつだ!こいつ!


ナチュラルに人を振り回し、同情を集めては100万円の費用を「数万円にしてよ」と軽く言い、加害者なのに被害者のような立ち回りをする。
しかも悪意むき出しではなく、どこか憎めない雰囲気すらある──そんな厄介なタイプです。

でも今回書きたいのは、ジャン本人ではありません。

ジャンはただの“分かりやすい極端な例”。
現実では、もっと柔らかい形で同じことが起きるよね、という話です。


気づくと「知り合い価格」になってる問題

自営業をしていると、

  • 付き合い長いし
  • お世話になったし
  • 今ちょっと大変そうだし
  • 若いし頑張ってほしいし
  • 断ると角が立ちそうだし

こんな理由で、つい値引きすることがあります。

相手はいい人なんですよね。
ジャンみたいにグイグイ搾取してくるタイプじゃない。

でも、ここで起きる現象が……わりとジャンなんです。


一回の値引きが、その人の“相場”になる

つい一度だけのつもりの値引きでも、相手の中では

「あ、この人はこのくらいの価格のサービスをしてくれるんだ」

と記憶されます。

だから、

  • 次回も同じ価格を当然のように言われる
  • 通常価格に戻しづらい
  • 追加作業まで“ついでに”お願いされる
  • 断ると自分が悪いみたいな空気になる

相手に悪気はないのに、
こちらだけジワジワ疲れていく。

これ、静かなジャン構造です。


忙しいのにお金が残らない人ほど、値引きが原因だったりする

税理士の仕事していると、

「仕事は来てるし忙しいのに、なぜかお金が残らない…」

という話をよく耳にします。

よくよく聞くと、

  • 知り合い価格が“デフォ”になっている
  • 毎回サービスでやってあげてしまう
  • 値上げのきっかけを失って何年もそのまま
  • 断るのが苦手で、追加作業が増えていく

など、“優しさ由来の値引き”がじわじわ効いているケースが本当に多い。

月1〜2万円でも、それが毎月続くと年間20万。
もっと多い人もいます。

気づかないうちに、未来の自分のお財布が削れているんですよね。


値付けは「金額の話」じゃなくて「境界線の話」

ジャンって、人の“境界線の弱いところ”にスッと入り込んでくるタイプです。

現実の知り合いはジャンほど極端じゃないけど、
構造は似ています。

だから、値付けって実は

・自分の生活を守るため
・自分の心を守るため
・自分の商売を続けるため

のルールなんですよね。

「値引きしない=冷たい」ではありません。
「値引きしない=長く続けるために必要なこと」です。


まとめ:値付けができたら一人前。だからこそ、最初の壁になる

自営業の世界では昔から、
「値付けができたら一人前」
と言われることがあります。

それくらい、値付けは難しくて、
でも避けて通れない“最初の壁”なんですよね。

知り合いだから、困っているから、応援したいから──
その優しさは大事です。否定するつもりもありません。

ただ、
頑張っているのにお金が残らない理由のひとつは、値引きかもしれない。

ジャンみたいな極端な例ではなくても、
静かに同じ構造は起こります。

未来の自分を守るためにも、
境界線としての「値付け」。
大事にしていきたいところです。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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