こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
今日は『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』(著:箕曲在弘)を題材に、就活と「通過儀礼」について考えてみたいと思います。
「就活はなぜ必要か?」を考えたことはありますか?
この本では、私たちが“当たり前”と思っていることの背後にある「文化」や「構造」に光を当てていきます。
たとえば、「就活」という慣習。誰もが当たり前のように経験するこのプロセスも、実は日本社会特有の“儀式”なのだと著者は指摘します。
文化人類学の視点から見ると、就活は“社会に出る”ための通過儀礼。
入社式やリクルートスーツといった形式も、内定をもらうという構造も、ただの効率や選抜の手段ではなく、「あなたはもう大人ですよ」「社会の一員になりましたよ」と確認するための“儀式”としての意味を持ちます。
「社会」という言葉の裏側にある文化
本書では、就活の話を通して「社会」という言葉の特殊性にも触れています。
私たちが日常的に使っている「社会に出る」「社会人になる」という表現。実はこれは、他国にはあまりない日本独自の文化的表現だそうです。
言い換えれば、「社会」という言葉の中に、「集団への所属」「秩序への参加」「大人としてのふるまい」がセットで埋め込まれているということ。
当たり前を疑う、でも否定ではなく“考察”する
この本の素晴らしいところは、「それ、おかしいよね」と否定するのではなく、
「なぜ、そうなっているんだろう?」と成り立ちを考える視点をくれるところです。
たとえば就活が単なる“悪しき慣習”なのではなく、
それがどんな背景で生まれ、どんな役割を果たしてきたのかを見ていくことで、
“文化”としての就活を相対化しつつも、必要な部分には敬意を持つ、そんな視点が得られます。
ビジネスにこそ必要な「当たり前を考える力」
この本のエッセンスは、ビジネスにも直結します。
「この業界ではこうだから」「みんなやってるから」という慣習や前提を、一度疑ってみること。
でもそれは、否定や反発ではなくて、「なぜ、そうなのか」を掘り下げる知性です。
文化には必ず背景があり、意味があります。
だからこそ、もしそこに合理性や価値があるなら、むしろ丁寧に扱うべきです。
おわりに
「当たり前」を見直すことは、ときに不安を感じることもあります。
でも、それは自分にとって何が大切かを考え直すきっかけにもなります。
就活も、仕事も、社会のルールも。
私たちはもっと自由に、そしてもっと深く、自分の立ち位置を見つめていいはずです。