こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
先日、保険の営業の方と話す機会がありました。車や家は「欲しいから買う」という明確なニーズがありますが、保険はそうではありません。多くの人は「必要性に気づいていない状態」から話が始まるので、営業する側にとってはとても大変な仕事だと思います。
友達や家族なら「付き合い」で契約することもありますが、数回会っただけの営業担当に「保険どうですか?」と言われて入る人はそう多くありません。それだけに「この人だから契約したい」と思わせる力が必要になります。
人は合理的に買い物していない
買い物の判断は、一見すると価格や性能を比較して合理的に選んでいるように見えます。けれど実際は、最後のひと押しは「気持ち」や「人とのつながり」だったりします。
最近、自分の行動を振り返ってみても、それを実感しました。
1500円を悩むのに、友達なら1万円でも
今度、家族で福島のハワイアンズに行く予定があります。そのためにラッシュガードを買おうと思って、楽天やAmazonを眺めているのですが、1500円くらいの商品を1ヶ月近く悩んでまだ買えていません。「本当に必要かな」「もっといいものがあるのでは」と考えてしまって、なかなか決断できないんです。
でも、もし身近な友達が水着屋をやっていたら、少々値が張る1万円のラッシュガードでも迷わず買っていると思います。そこには「応援したい」「その人から買いたい」という気持ちが入るからです。合理的に考えれば安いほうが得なのに、行動はそうならない。
消費は推し活に近い
こうしてみると、消費って推し活に近いと思うんです。値段や機能だけではなく、「誰から買うか」「その商品にどんな意味を見いだせるか」が決め手になる。
保険も同じで、「必要だから入る」というよりは「この人に勧められたから」「この人から買いたいから」という理由で契約することが多いはずです。営業の難しさは、商品の説明よりも、自分を「推してもらえる存在」にできるかどうかにあるのではないでしょうか。
まとめ
1500円の商品に悩み続けるのに、友達からなら1万円でも即決する。矛盾しているようで、実はこれが人の購買心理の本質なのだと思います。
消費は合理性だけでなく、つながりや気持ちに強く左右されます。保険に限らず、私たちが何かを買うときの感覚は「推し活」にとても近いのかもしれません。