こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
法人をつくると、
「せっかくだし、家族を役員にしようか」
「監査役にして、少し節税できないかな?」
そんな発想が浮かぶこと、ありますよね。
気持ちは分かります。
ただ、税務目線で見ると、家族の“名ばかり役員・監査役”は、ちょっと慎重になったほうがいいテーマです。
今回は、そのあたりをやわらかく整理してみます。
名ばかり監査役が否認された事例もあります
過去には、大学生の息子さんが監査役に就任していた事案で、
監査報告書の作成や取締役会への出席などの職務実態が認められず、
役員報酬が否認されたと紹介される裁判例があります。
(長崎地裁昭和42年10月6日判決/福岡高裁昭和43年3月29日判決)
昔の事例ではありますが、
「肩書きよりも中身を見る」というスタンスは、今も変わっていません。
役員報酬は、肩書きではなく、その役割に対して支払われるものです。
名前だけで実態が伴わないとなると、
税務調査で説明に困る可能性があります。
税務調査で見られやすいところ
実際の調査では、こんな点が確認されやすいです。
・監査役として、何をしているのか
・確認や報告の記録はあるか
・会議に出席しているか
・なぜ監査役を置いているのか
特に親族の場合、
「どういう役割を担っているのか」は丁寧に見られがちです。
とはいえ、「書類さえ整えればOK」という話でもありません。
最終的には、実際に説明できるかどうか、がポイントです。
小規模法人だと、
「そもそも監査役、必要ですか?」というところから話が始まることもあります。
ちょっと立ち止まって考えたいこと
もし設置を考えるなら、こんな点は一度整理しておきたいところです。
① 監査役を置く目的ははっきりしていますか?
(利益調整以外に、ちゃんとした理由がありますか)
② 複数名にする理由はありますか?
小規模事業者では、人数よりも質が問われます。
③ その方は、監査役としての役割を実際に果たせそうですか?
④ 本業がある場合、確定申告や副業規定は大丈夫ですか?
住民税(特別徴収)の通知から、副収入が推測されるケースもあります。
「他の会社もやっているから大丈夫」というのは、
税務ではあまり安心材料にはなりません。
税務は横並びではなく、あくまで個別判断です。
通せるかどうか、よりも
「どうやったら通せますか?」という相談を受けることもあります。
気持ちは分かります。
ただ、私自身は、
“グレーをどう通すか”を考えるよりも、
“ちゃんと説明できるかどうか”を基準にしています。
節税のテクニックを増やすより、
本業に集中できる体制をつくるほうが、
結果的にはラクで、強い会社になることが多いです。
そんな視点も、頭の片隅に置いていただけたらと思います。
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伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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