こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
税理士の世界では、昔から専門書や解説本を出版する方が多くいます。
最近はそこにKindleが加わり、紙だけでなくデジタルでも気軽に出版できるようになりました。
“自分の知識や作品を形にして届ける”という意味では、クリエイターの方と近い部分も多いなと感じます。
ただ、紙かデジタルかによって、税務の扱いは意外と変わってきます。
これは税理士でもクリエイターでも共通です。
今日は、そんな出版まわりの売上が混ざりやすい方ほど知っておきたい、
クリエイター向け・簡易課税の区分整理をまとめていきます。
簡易課税は“売上の中身”で決まる
簡易課税は、売上に「みなし仕入率」を掛けて仕入控除を計算する制度です。
ポイントは、“何を売っているか”で区分が変わるということ。
クリエイターが主に使う区分はこの2つです。
- 第3種(製造業・製造小売業など):みなし仕入率 70%
- 第5種(サービス業など):みなし仕入率 50%
原稿料は「第5種」(サービス提供)
出版社や企業から受け取る原稿料、記事制作、漫画制作、キャラデザ料などは、
サービスの提供(役務の提供)として扱われます。
そのため、簡易課税では 第5種(みなし仕入率50%)。
作品の引き渡しがあっても、法律上は“知的サービスの提供”という扱いです。
紙の同人誌(現物販売)は「第3種」
紙で印刷した同人誌をイベントや通販で販売する場合は、
「物の販売」=製造小売寄りとなり、
簡易課税では 第3種(みなし仕入率70%) に該当します。
印刷費や紙代など、いわゆる原価部分の比率が高いため、
デジタル販売(5種)とは区分が変わる点に注意です。
DL販売(デジタル配信)は「第5種」
データ形式で作品をオンライン販売する場合は、
物の販売ではなく“サービス提供”と判断されるため、第5種(みなし仕入率50%)になります。
紙の同人誌とは性質がまったく違うため、
デジタル販売は一律で第5種と覚えておけば大丈夫です。
グッズ販売は「第3種」(ほぼこれ一択)
アクスタ、缶バッジ、ポストカード、カレンダー、Tシャツなど、
自分の作品を使って作るグッズは、
基本的に第3種(製造小売扱い・みなし仕入率70%) です。
自分でデザインを作り、製造を外注し、自分の名義で販売する──
この流れは“自社製品の販売”と考えられるため、実務ではほぼ第3種。
※既製品をそのまま売る場合だけ第2種の可能性がありますが、同人ではほとんど出てきません。
まとめ:クリエイターの簡易課税は“切り分け”が命
- 原稿料 → 第5種(50%)
- 紙の同人誌 → 第3種(70%)
- DL販売 → 第5種(50%)
- グッズ → 第3種(70%)
この4つを押さえておけば、実務の9割はカバーできます。
簡易課税を使うなら、売上を種類ごとに区分しておくのがとても重要。
あとから見返しても迷わないように、収入のメモを習慣にしておくと安心です。
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伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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