利息より怖いもの。借入金との付き合い方。

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

新規の方や関与先様とお話ししていると、借入についてこんなご相談をいただくことがあります。

「車を買おうと思います。利息がもったいないので現金一括で」
「融資が決まりました。資金に余裕ができたら早めに繰上返済しようと思います」

そのたびに、

「いやいや、ちょっと待ってください!」

と思うことがあります。

税理士は財務コンサルタントではありませんし、借入の専門家でもありません。(と、思ってます。)

それでも、これまで多くの事業者さんを見てきた経験から、借入金との付き合い方について思うことがあります。

借入は借金です

当たり前の話ですが、借入は借金です。

SNSを見ていると、

「〇億円の資金調達に成功!」
「銀行から融資を引っ張ってきました!」

といった投稿を見かけます。

もちろん資金調達そのものを否定するつもりはありません。ただ、私は少し違和感があります。

大事なのは調達したことではなく、そのお金を使って何を実現したかではないでしょうか。

借入金は売上ではありません。当然ながら返済もありますし、利息も発生します。借入が増えれば、その分だけ毎月の返済負担も増えます。

言い換えれば、

「未来の自分、頼んだぞ!」

とバトンを渡している状態です。

だからこそ、借入をするなら「何のために借りるのか」を考えたいところです。

(資金調達の事業をされてる方なら10000歩譲ってまだわかるんですが、それでもモヤっとしますね)

無理な投資は慎重に

私が特に慎重になった方が良いと思うのは、「無理な投資」や、必要性がはっきりしない運転資金のための借入です。

利益が十分に出ていない段階で、

・人を増やす
・店舗を広くする
・事務所を移転する

といった拡大路線に進むケースがあります。

もちろん、それで成功する方もいます。

SNSでは「思い切って借入して良かった」「あのとき勝負して正解だった」という話をよく見ます。

ただ、それは成功した人の話です。

うまくいかなかった人は、あまり発信しません。

いわゆる成功者バイアスですね。

私はどちらかというと、まずは今の事業でしっかり利益を出し、最初の投資を回収してから次を考える方が好きです。

もちろん業種や状況によって正解は変わりますが、拡大のための借入は慎重に考えたいところです。とはいえ、自分がいまやろうとしていることが「無理な投資」かはよく考えたほうがいいと思います。

車は借入で買った方がいいと思っています

ここまで読んで、「借入アンチか!」と思われるかもしれません。でも、今回はそういう話ではありません。

無理な投資は慎重に考えたい一方で、お仕事に必要な大きな買い物であれば、借入は積極的に活用しても良いと思っています。

代表例が車です。

数百万円の支出を現金一括で行うと、一気に手元資金が減ります。

事業の命は利益・・・も大事ですが、まずはキャッシュです。

キャッシュがなければ支払いができません。

利益が出ていても倒産する会社があるのはそのためです。

なので私は、車などの高額な買い物については、利息を払ってでも借入を活用し、手元にお金を残しておく方が良いと考えています。

利息は無駄なお金ではありません。

事業継続のための保険料です。

(繰り上げ返済も同じ理由で控えたほうがいいと思ってます。)

利息より怖いもの

私が勤務時代に担当していたお客様で、車を現金一括で購入した結果、資金繰りが苦しくなった方がいました。

取引先への支払いを待ってもらったり、値下げ交渉をしたりしていましたが、結果的に取引先との関係が悪化してしまいました。

もし借入を活用して手元資金を残していれば、違う結果になっていたかもしれません。

事業では、利息を払うことよりも、お金がなくなって選択肢がなくなることの方が怖いです。

急な設備故障や売上減少があったとき、手元資金があれば対応できます。

逆に、キャッシュがないと良い判断ができなくなります。

金の切れ目は縁の切れ目、という言葉もありますが、資金繰りが苦しくなると取引先との関係にも影響します。

だからこそ、どこにお金を使うのかは慎重に考えたいですね。

開業時の借入は必要不可欠

新規開業の場合はなおさらです。

店舗の内装工事や設備投資、広告宣伝費、運転資金など、最初は何かとお金がかかります。

そして、借入の話で生活費に触れるのもどうかと思いますが、現実問題として生活費も必要です。

開業した瞬間から売上が安定するわけではありませんからね。

だからこそ、開業時の借入は事業を軌道に乗せるための大切な手段です。

借入というとネガティブなイメージを持つ方もいますが、必要な投資のための借入は事業を支える大事な武器でもあります。

借入は悪ではない

借入についての私の考えをまとめると、

・借りられるから借りる、は危険
・拡大のための借入は慎重に
・高額な設備や車は借入を活用する選択肢もある
・事業では利益以上にキャッシュが重要

というところでしょうか。

借入そのものは悪ではありません。

ただし、借入は未来の自分への請求書でもあります。

だからこそ、「いくら借りられるか」ではなく、「何のために借りるのか」を考えることが大事だと思っています。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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