税理士に資料を渡すのは、毎月じゃないとダメ?

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

税理士と契約すると、

「領収書や通帳などの資料は、毎月準備しないといけないの?」

と思われる方もいるかもしれません。

結論からいうと、これは事業の規模や状況によります。

毎月資料を提出して、できるだけ早く数字を把握した方がいい事業もあれば、数か月分をまとめて提出しても特に困らない事業もあります。

毎月資料を提出した方がいいケース

たとえば、従業員が複数いて、毎月ある程度まとまった人件費や固定費が発生する事業です。

体感的には、従業員が5人、10人と増えてくると、資金繰りもしっかり意識しておきたいところです。

給与や社会保険料、外注費、借入金の返済など、毎月出ていくお金も大きくなります。

こうした事業では、税理士へ毎月資料を提出して、なるべく早いタイミングで会計処理を終わらせておく意味があります。

毎月の数字を見ながら資金繰りを考えたり、必要に応じて税理士などの専門家と状況を確認したりすることも必要になってきます。

ひとり・少人数なら、毎月じゃなくても

一方で、ひとりで仕事をしている方や、従業員が1~2人程度の小規模な事業では、少し事情が違います。

もちろん業種にもよりますが、固定費がそれほど大きくなく、通帳の残高を見ながらでも十分に資金管理ができるケースは多いです。

この場合、税理士へ毎月必ず資料を提出しなくても、事業上それほど困らないこともあります。

2~3か月分をまとめて提出する。

あるいは、納税額を確認したいタイミングで一度まとめて提出する。

それでも十分に回るのであれば、無理に「毎月」というルールにする必要はないと思っています。

少し余談ですが、このくらいの事業規模で毎月しっかり資料を提出して、さらに毎月税理士と面談をしても、毎回それほど話すことがないケースもあります。

もちろん何か相談したいことがあれば別ですが、数字が大きく動いていなければ、結局は世間話をして終わることも。

それはそれで良い時間ですが、そのために毎月時間を確保するのであれば、本業に集中した方がいいという考え方もあると思います。

一方、「毎月話題や情報提供がないのは、税理士の手腕の問題だ」といった話もたまに見かけます。

ただ、必要のない情報まで無理にひねり出して提供するのも、なんだか違う気がしています。

満腹の人に、おにぎりを食べさせるようなものです。

それでも毎月提出するメリットはある

もちろん、小規模な事業でも毎月資料を提出するメリットはあります。

一番は、記帳をため込まなくて済むことです。

毎月、領収書や請求書などを税理士へ渡してしまえば、自分の手元から記帳関係の資料が離れていきます。

「確定申告が近づいてきたけど、1年分の資料がそのまま……」

という状態にもなりにくいでしょう。

また、個人事業主の方については、令和9年分から青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられます。

75万円控除を受ける方法のひとつが、「優良な電子帳簿」の要件を満たして帳簿を保存することです。

この制度を使うのであれば、年が終わってから1年分をまとめて記帳するのではなく、定期的に資料を提出していただき、記帳を進めていく運用が必要になってきます。

そのため、これまで「年1回まとめて資料を渡せば十分」という方でも、75万円控除を使うのであれば、資料提出のペースを変える必要が出てくるかもしれません。

とはいえ、75万円控除を使うかどうかは別の話です。

追加で10万円の控除を受けるために、どこまで手間やコストをかけるのか。

そこまで含めて、自分に合った方法を選べばいいと思っています。

私の事務所では年末に一度確認することも

私の事務所は、ひとりで仕事をされている方や、少人数で事業をされている方が多いため、必ずしも全員から毎月資料をいただいているわけではありません。

特に個人事業主の方については、普段は月次で資料をいただいていないケースもあります。

ただ、年末が近づくと、翌年の所得税や消費税などをある程度予測できる時期になります。

そのため、毎年10月頃になると、普段は月次で資料をいただいていない方にも、

「納税予測の時期ですが、いかがですか?」

と、ご案内をすることが多いです。

そこで一度資料をまとめていただき、年の途中までの会計処理を進める。それをもとに、翌年の納税額を予測します。

それで十分な方も多いです。

さらに、「納税額は確定申告のときに分かれば大丈夫」という方であれば、納税予測自体を行わないこともあります。

その場合は、お仕事が忙しい時期に無理をして資料をまとめるより、本業を優先していただいて構いません。

税理士に資料を渡すのは、毎月でなければダメというものではありません。

毎月数字を把握する必要があるのか。数か月ごとでも十分なのか。それとも、年末に一度確認できればいいのか。

事業の規模や状況に合わせて、無理のない提出ペースを決めればいいと思っています。

—
伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
[事務所ホームページへ]
—