昔からある言葉にしては、すごく本質をついているなと思うのが「餅は餅屋」です。
なんでもやります、全部自分でできます、というスタイルがかっこよく見えることもあるけれど、私はやっぱりこの言葉が好きです。
ワンストップサービスの強みと落とし穴
「なんでも相談できる」って、顧客目線で見るとすごくありがたいことだと思います。
誰に何を相談すればいいのかわからない、というのは本当に困るし、それをまるっと引き受けてくれる窓口があるのは心強い。
だから、ワンストップサービスにはちゃんと価値がある。
ただそれは、裏に「それぞれの分野のプロが揃っている」場合の話です。
一人で全部やると、どこかで限界がくる
たとえば、私は税理士ですが、勤務時代に給与計算や社会保険の手続きにも携わっていました。だから「できる」と言えば、できる。
でも、「それが本当に自分の専門分野か?」と問われると、正直に言って違います。
やればできるけど、専門外のことって「素人に毛が生えたレベル」になりがちです。
それって相手にも迷惑をかける可能性があるし、自分としても誇りを持って仕事するのが難しくなります。
「できる」と「やる」は違う
「できますよ」と言うのは簡単です。でも、それを本当に自信を持って提供できるか?という問いは、ちゃんと立てておくべきだと思っています。
もちろん、必要に応じて学んだり、新しいことにチャレンジすることも大事。
でも、「できるけど、やらない」と決める線引きも、同じくらい大事だと思うのです。
喜ばれること=正しいこと?
繰り返しになりますが、「なんでもやる」というスタンスは顧客には喜ばれます。
でもそれって、本当に長い目で見て顧客のためになっているのか。
「なんでもやります」の裏に、もしかしたら“自分で抱え込みすぎて、精度が下がっていく”というリスクもあるかもしれません。
餅は餅屋。自分の餅を、きちんと届けたい
だからこそ、私は「これは自分の仕事です」と言える範囲を明確にしておきたい。
それが結果的に、自分の仕事にも責任と誇りを持つことにつながると思っています。
餅は餅屋。
餅屋として、自分の餅をちゃんと届けるために。
そういう意味で、やっぱりこの言葉が好きなんです。
なんでもやれることがその人の付加価値になっていたり、独立したばかりでまずは売上が欲しい、なんて人は「できる」ことから受注していくことも悪くないと思います。きれいごとばかりも言ってられないと思うので。が、自分の首を絞めないように。