マーケティング=SNS=発信?その理由と背景の考察

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

最近、「マーケティングって、つまりSNSで発信することでしょ?」という声を聞くことが増えています。特に若い世代や小規模事業者のあいだでは、そうしたイメージがすっかり定着しているようです。

この背景には、社会全体の情報との向き合い方の変化や、日々の業務で使われているマーケティング手法の実情があります。


身近で結果が見える「発信ツール」

InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのプラットフォームは、誰でも無料で使え、反応が数字で見えるのが特徴です。そのため、マーケティングは「専門的な戦略」ではなく、「人目を引く工夫」として捉えられることが多くなりました。

企業の広報活動においても、認知や販売、ブランディングの手段としてこれらの媒体が主軸になってきています。


商品選びの起点になっている

今では、何かを買う前にGoogleより先にInstagramで検索する、という行動も珍しくありません。特に若年層では、「SNSで見かけたもの=信頼できる・話題のもの」という感覚が強くなっているようです。

実際、「発信で見かけたことが購入の後押しになった」と感じる人も多く、情報収集と購買行動が地続きになっている印象を受けます。


経済としての広がり

こうした状況にあわせて、市場規模も年々拡大しています。発信を起点に売上が伸びたり、テレビなどのマスメディアに取り上げられる事例も数多く、「バズれば売れる」という構図が広く共有されるようになっています。

また、「発信すること自体がマーケティング」として成立するような考え方も体系化されています。たとえば、情報発信を通じて信頼や興味を引き寄せる「コンテンツマーケティング」、個人の影響力を活用する「インフルエンサーマーケティング」など、発信を軸とした手法はすでに確立された分野として存在しています。

このように、投稿が注目されることがそのまま評価につながる。
マーケティングが「SNSで目立つ=評価されること」として語られやすくなっているのが、現代の風潮なのです。


そもそも、なぜマーケティングが必要なのか

昔のように「作れば売れる」時代ではなくなりました。高度経済成長期は、そもそもモノが足りておらず、目新しさや機能性だけで十分に価値がありました。

でも、いまは違います。多くの市場がすでにモノも情報も行き渡った「飽和状態」にあります。

  • 欲しい人には、すでに似た商品が届いている
  • 興味がない人に「これどうですか?」と声をかけても響かない

だからこそ、「どうやってその人にとっての意味を持たせるか」「なぜこれが自分に必要だと思えるか」という文脈づくりが重要になります。
マーケティングは、単に届けるための手段ではなく、「なぜ、それを選ぶのか」の納得を生む設計だと捉えるべきなのかもしれません。


まとめ

発信ツールが身近になり、誰もが簡単に情報を届けられる時代になりました。それはとても良いことですが、「届ける前の設計」がなければ、マーケティングはただの目立ちたがりで終わってしまいます。

本当のマーケティングは、「誰かにちゃんと届く仕組みをつくること」。
その視点を忘れずに、地に足のついた発信を続けていきたいですね。