わたしの修行時代:3社目(はじめての税務調査)

1社目で“仕事の基本”を叩き込まれ、
2社目で“道に迷い”、
そしてたどり着いたのが、地元の老舗中堅税理士法人
ここでは、丸5年間勤務しました。

仕事の幅が広がり、実務の手応えも増えて、
ようやく「土台ができた」と感じられる場所でした。


繁忙期以外は、ほぼ定時退社

この事務所の良いところは、税理士試験への理解が深かったこと。
繁忙期は当然バタバタするけれど、それ以外は「早く帰って勉強していいよ」という空気感。

実際、定時でサクッと帰れる日も多く、
試験勉強と両立できる環境としては、かなり恵まれていたと思います。


はじめての税務調査

この3社目で大きな学びになったのが、税務調査の立ち会い経験でした。

調査官が何をどう見て、どんな手順で進めていくのか。
“あえて触れない箇所”にどんな意図があるのか。
そういったリアルな現場を経験することで、
日常業務の中でも「ここは後から説明がつくようにしておこう」とか、
「この処理は、調査官目線でもOKか?」と、
一歩引いた視点で仕事を見られるようになっていきました。

この「実務感覚」は、今もずっと活きています。


税理士試験と大学院進学

とはいえ、税理士試験の結果はなかなか出ず。
試験に落ちた日の夜は、1日中ふとんにくるまって号泣していたこともあります。

それでも、「まだやれる」と思いたくて、大学院ルートに進むことを決意。
進学した大学院では、ほとんどが税理士事務所で働く社会人。
しかも「あと1科目で税理士!」という人がゴロゴロいて、
自分との差に焦りつつも、「あ、ゴールって本当にあるんだ」と、はじめて現実味が湧きました。

そして何より、そこにいた仲間たちは、今もつながっている大切な税理士仲間です。


やりがいと、モヤモヤ

この事務所での日々にはやりがいもあったし、信頼してくれる顧問先にも恵まれていました。
自分の仕事が人の役に立っていると感じる場面もたくさんあって、それはやっぱり嬉しかった。

けれど、時間が経つにつれ、少しずつモヤモヤが積もっていきました。

たとえば、退職者が出るたびに、担当が増える
採用は後手に回り、気付けば、残った人に負担が集中していく。
「これって、人を採用してまで回さなきゃいけない仕事なのか?」
ふと、そんな疑問がよぎるようになりました。

だんだんと、“なぜこの仕事をしているのか”が分からなくなってくる。
毎日、タスクに追われるだけで、前を向いている感じがしない。
そんな気持ちのまま、ただ日々をこなしていくようになっていました。


そして、転職へ

ちょうどその頃、仲の良い同僚が退職。
ぽっかり空いた穴と、静かに押し寄せる喪失感。

そして大学院の同期たちを見ていて、
「自分ももっと大きな組織で、違う規模の仕事を経験してみたい」
そんな気持ちが湧いてきて、次のステップに進むことを決意しました。


この3社目は、“ちゃんと働く”ことと“ちゃんと学ぶ”ことを、両立させてくれた場所でした。
実務の感覚と、これからの選択の軸を手に入れたこの時期は、
自分にとって大きな転換期だったと思います。

アイキャッチ画像:大学院の自習室。ここで論文書いたり税理士試験の勉強したり。秘密基地感があって好きでした。

5年働いていたこともあって、たとえば顧問先の社長と飲みに行ったり、より深い関係を築けたのも良い経験になったなあと思います。

さすがに5年も働いていたので、プライベートでもいろいろありました。

マラソンにハマる。対外的にハマってる感をアピールするため、大会に出たりしてみる。
行きつけのセレクトショップ、「koumoe」の店長と。
やたらとBBQの際に楽器を持ち寄ってセッションするのにハマる
新婚旅行でハワイに行ってハワイ行きたい病を患う。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
[事務所ホームページへ]