わたしの修行時代:1社目(税理士の基本を学んだ場所)

社会人として最初の職場は、
数人だけの小さな税理士事務所でした。

新卒で入って、働いたのは1年半くらい。
今思えば短いけれど、
たぶん一生忘れないくらい濃い時間だったと思います。


■ 「税理士って、こんな仕事なんだ」を全部詰めこんだ日々

当時の私は、税理士を目指して勉強中の新人
でもありがたいことに、いろんな仕事をやらせてもらいました。

・記帳代行(手書きの領収書をひたすら入力)
・法人の決算と申告書作成
・個人の確定申告(青色申告・白色申告・医療費・不動産…)
・顧客先への訪問・資料回収・電話応対

いわゆる「税理士の1年間の仕事の流れ」を、まるっと全部体験しました。
今の私のベースは、この頃に全部できてると言ってもいいくらい。


■ 先輩の真似ばっかしてた

何が正解かわからないから、とにかく先輩の真似をしてました。

電話が鳴ったら、まずは受話器の取り方を横目で確認して、
話し方を耳で覚えて、名乗り方のタイミングも真似して。

お客さんのところに行ったら、
出されたお菓子やお茶は何が出てきても完食
(ほんとは苦手でも「これ、めっちゃ好きです」って顔で飲む)

わかってるふりして、わかってないまま乗り切ることもあったけど、
それでも必死だったし、ちゃんと学べてたんだと思います。


■ 仕事が楽しいと思えた、あの瞬間

あるとき担当したのが、地域の個人商店の店主さん。
最初はビクビクしてたけど、
月に1回くらい会って話すうちに、だんだん距離が縮まっていって。

「最近どう?」って聞いてくれて、
「来てもらえると安心するわ」なんて言ってもらえたりして。

あのとき初めて、
“誰かの役に立ってる実感”みたいなものがわかった気がしました。

数字を見る仕事だけど、
実はすごく人間的であったかい世界なんだって知ったのもこの頃です。


■ でも、辞めました。けっこう泣きながら。

いま書いてて思います。
良いこともあったけど、しんどかったなぁって。

若さゆえの不器用さもあって、
先輩にも上手に相談できず、
「がんばらなきゃ」と「でも無理かも」が頭の中で交差する毎日。

辞める直前の数週間は、
顧問先に向かう車の中で、けっこう号泣してました
エンジンかけて、深呼吸して、涙拭いて、
何もなかった顔で「こんにちはー」って笑って訪問する日々。

なんであんなにがんばってたんだろう、って今なら笑えるけど、
当時はほんとうに必死でした。


■ あのときがあって、今がある

結局、若気の至りで辞めてしまったけど、
この1社目での経験が、私にとっての“税理士としての原点”です。

電話の出方も、
申告書のつくり方も、
人との関わり方も、
全部ここで学びました。

今、誰かに「どうやって学んだの?」って聞かれたら、
迷わず「最初の職場で、先輩の真似ばっかしてたら、できるようになってました」って答えます。

アイキャッチ画像:当時は河原で豆を煮て食べるのがヒッピーみたいでカッコいいと話題(?)になり、友達とよくBBQしてました。

当時の先輩も現在、立派に税理士として活躍しています。たまに連絡頂くのが嬉しかったり。