こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。
中小企業の経営相談で、よく話題になるのが「人を雇うかどうか」。
売上が伸びてきて「そろそろ人を増やしたいな」と思うのは自然な流れですが、いざ正社員を雇うとなると話は別です。今日はそのあたりを、私の考えとして書いてみます。
人を雇うのは人生を背負うこと…かも?
正社員を雇うって、その人の人生を背負うことなんじゃないか、と私は思っています。
ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、独身のうちは良くても、その人が結婚したり子どもができたりすれば、必要なお金も働き方のニーズも変わっていきます。雇う側はそれに合わせて給料を上げ続けられるのか――ここが大きなポイントです。
人件費は「給料だけ」じゃない
給料◯万円だから大丈夫、と思うのは危険です。
社会保険の会社負担や賞与、教育・採用コストまで含めると、実際の負担はざっくり給料の1.2〜1.4倍くらい。さらにベースアップを継続的に行うと、その分の固定費もじわじわ積み上がっていきます。景気が悪くなっても数か月は守れる余力がないと、社員も会社も不安定になってしまいます。
辞めたあとのリスクも大きい
前向きな人ほど新しい挑戦に進むので、いつかは辞めることもあります。
そのときに残るのは、こなしきれない売上や固定費、借入の返済。仕事を個人任せにしていたら一気に回らなくなります。マニュアルや仕組みで標準化しておくのは必須です。
雇う前に「売上の規模」を考えよう
雇用は勢いで決めるものじゃなくて、「どれくらいの売上があれば人を雇っても安定して続けられるか」を先に考えるべきです。
私自身は“拡大しない経営”を大事にしているので、人を増やして売上を追うより、今の体制でやれることを磨くほうを選んでいます。
雇うなら、その人の未来まで想像してみる
それでも雇うと決めたなら、「その人が10年後どう生きているか」を想像してみてほしいです。
住宅ローンを払っているかもしれないし、子どもの進学にお金がかかるかもしれない。ライフステージごとに給与を増やし続ける覚悟があるかどうか。考えすぎに聞こえるかもしれませんが、それくらいの視点を持っていたいと思います。