自営業の値付けの話

こんにちは。仙台の税理士、伊藤です。

自営業をやっていると、一度は悩むのが値付けです。

安すぎると利益が残らないし、高すぎると依頼が来ない気がする。特に開業したばかりの頃は、「いくらにするのが正解なんだろう」と悩む方も多いのではないでしょうか。

もちろん正解は人それぞれです。業種も違えば、提供するサービスも違います。

絶対的な正解ではありませんが、自営業をされている方の参考になれば幸いです。

独立してから4年ほど経ちますが、運の良いことに値引きのご相談を受けたのは開業したばかりの頃に一度だけです。先日、かなり久しぶりに同じようなお話がありまして、改めて値付けについて考える機会になりました。

値付けはサービスの対価だけではない

例えば税理士であれば、

  • 会計チェック
  • 記帳代行
  • 税務相談
  • 確定申告

といった業務があります。

値付けというと、こうしたサービス内容に対して決めるイメージがありますよね。

もちろんそれも大切です。

ただ実際に仕事をしていると、それ以外にも多くの時間がかかっています。

  • 打ち合わせ
  • メールやLINEのやり取り
  • 電話対応
  • 資料確認
  • スケジュール調整
  • 進捗管理

こうしたコミュニケーションに関する工数です。

自営業者にとって時間は貴重な資源です。同じサービスを提供していても、かかる時間が違えばコストも違います。

私は値付けを考えるとき、この部分を無視しないようにしています。

特別対応は意外と高くつく

よくあるのが、

「このサービスはいらないので安くしてほしい」

というご相談です。

一見すると合理的に聞こえます。

ただ、小規模事業の場合は意外とそうでもありません。

例えば、

  • この人は質問対応あり
  • この人は質問対応なし
  • この人は納税予測あり
  • この人は納税予測なし

という状態になると、管理が複雑になります。

誰がどのサービスを利用しているか把握し続ける必要があります。

つまり、サービスを減らしても管理コストが増えるんです。

結果として、

「値引きしたのに工数は減らない」

ということが起こります。

小さな事業ほど、例外を増やさないことは大事だと思っています。

(もちろん場合によります)

値引きの前に考えたいこと

私としては、

「この価格でお願いします」

というスタンスです。

無理に受注しても、お互いに良い結果にならないことが多いからです。

値引き交渉を受けると、イラっとしますよね(笑)。

なので一度ChatGPTに、値引きしない理由と多少のイライラをまとめて投げてみるのも良いです。

その後、相手に送れる文章に整えてもらえますので、最近はそういう使い方も結構便利です。

ただ、感情論で値引きを断りたいわけではありません。皆さんなりに、「値引きしない理由」があると思います。

私の場合、ここまで書いてきたコミュニケーションコストや例外対応がソレです。

値引きをしても工数が減らなければ、どこかでその負担を抱えることになります。

だから私は、まず価格を下げるのではなく、サービス内容や運用を見直すべきだと考えています。

税理士業務でもコミュニケーションコストはある

税理士業務でもコミュニケーションコストは存在します。

ただ、相談が多いこと自体はあまり気にしていません。

経営をしていれば悩みは出ますし、時期によって相談量にも波があります。むしろ、相談いただくことは税理士の仕事の一つだと思っています。

一方で、

  • 資料提出の催促が何度も必要
  • 返信がなかなか来ない
  • 確認事項が止まる

というケースは別です。

サービス内容は同じでも、必要な工数は増えていきます。

私もコミュニケーションコストを値付けに反映しています

実は私自身も、コミュニケーションコストを意識した運用をしています。

その一つが、

「月次資料の催促を原則しない」

という方針です。

もちろん申告期限が近い場合は別です。税務申告ができなくなるので、その場合はご連絡します。

ただ、月次レベルであれば、

「資料まだですか?」
「先月分いただけますか?」

と何度も催促することは基本的にしていません。

理由は単純です。

催促にも工数(コスト)がかかるからです。

例えば、毎月きちんと資料を送ってくださる方と、毎月何度も催促が必要な方。サービス内容は同じでも、かかる工数は同じではありません。それなのに料金が全く同じというのも、少し違う気がしています。

だから私は、

「催促を前提にしない運用にする代わりに、その分のコストを抑える」

という考え方をしています。

自信を持って値付けしていい

値付けは本当に難しいです。

私も開業当初は、

「高すぎないかな」

「この金額で依頼してもらえるかな」

と思っていました。

でも、自営業を続けていると分かることがあります。

値段はサービス内容だけで決まるわけではありません。

工数もありますし、コミュニケーションコストもあります。例外対応だってあります。

だから、自分なりに根拠があって決めた価格なら、自信を持っていいと思います。

もちろん、その価格で断られることもあります。

でも、それは単純に相性やタイミングの問題かもしれません。

そのためにも、普段から営業や発信を続けておくことは大切です。

値引きをしなくても大丈夫な状態を作ること。

それも自営業の大事な仕事だと思っています。

値付けで悩んでいる方の参考になれば幸いです。


伊藤 功明(税理士)
仙台を拠点に、個人事業主や小さな法人の税務をサポートしています。
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