「ドラッカーと会計の話をしよう」を読んでわかった、粗利・在庫と“拡大しない”経営のヒント

こんにちは。仙台で税理士をしている伊藤です。

今日は、大学時代に読んで衝撃を受けた一冊をご紹介します。
それが、林總さんの著書『ドラッカーと会計の話をしよう』です。


キャッシュが増えているかどうか

この本は、レストランを経営する青年と、謎の紳士との一夜の対話形式で進んでいきます。
会計を「数字の羅列」ではなく、「経営判断の道具」として使うための考え方が、やさしく、でも本質的に語られます。

たとえば、「利益が出ているかどうか」ではなく、「キャッシュが増えているかどうか」が重要だという話。
単に黒字かどうかを見るのではなく、手元に現金が残っているかどうかを見なければ、経営は成り立たないという視点は、当時の自分にとってとても新鮮で印象的でした。


「コストは売上を生まない」という視点

この本では、「コストは売上を生まない」という考え方が繰り返し登場します。

かけたコストがそのまま売上や利益に結びつくとは限らない。
むしろ、固定費を増やしたり、在庫を持ちすぎたりすることで、キャッシュフローが悪化してしまうケースもあります。

売上が増えても、粗利率が低ければお金は残らない。
逆に、売上が少し落ちても粗利率が高ければキャッシュフローは良くなる。
そういったバランス感覚が、スモールビジネスには特に大切なんだと教えてくれる一冊です。


“開業ハイ”で財布のひもを緩めない

独立直後は、「せっかく開業したんだから」と気持ちが高ぶって、ついお金を使いたくなってしまいます。
オフィスを借りて、内装を整えて、ロゴを発注して……。理想の姿を整えたくなる気持ち、よく分かります。

でも、それって本当に必要?
綺麗なオフィス、かっこいいロゴで仕事増える?
借入をしたら、当然、返済が待っています。
まずはキャッシュが残ること。無理をして拡大しないこと。
この本を読んだことで、そんな感覚が自分の中にしっかり根付いた気がします。


おわりに

売上や利益に目がいきがちですが、大切なのは「お金が残るかどうか」。
勢いで拡大する前に、まず足元を見つめること。
そうやって、自分にとっての“ちょうどいい経営”を探すヒントを与えてくれる本です。

独立したばかりの方や、これから事業を始めようとしている方にもおすすめしたい一冊です。